日本や世界で地域循環型社会の実現を目指すグリーンプロジェクト
新潟県村上市に建設予定の木質バイオマス発電所を中心に、地域循環型社会の実現を目指すグリーンプロジェクト。林業・農業などの地域資源を生かし、新たな産業と雇用を創出するために、さまざまな取り組みを行っています。グリーンプロジェクトを推進する3名が集まり、現在の想いや未来の展望について語りました。
Project Member
日本が抱えるさまざまな問題を解決する一助として立ち上げたプロジェクト
Y.K近年、地球温暖化で、日本を含む多くの国がカーボンニュートラルを目標に掲げ、発電分野でも脱炭素化に向けて取り組みが進んでいます。また、日本では林業従事者の不足による山の荒廃、食料自給率の低下などが問題になっています。太平電業が長年培ってきた発電に対する知見を活かし、これらの問題を解決する一助となればと立ち上げたのが、グリーンプロジェクトです。
S.U部署を立ち上げて本格始動し、2年後には木質バイオマス発電所が完成する予定で、そこに向けてさまざまな計画を練っている段階です。
Y.K林業でどういう計画があるかというと、日本の山に生えている木の中には、戦後に植林されてから手付かずになってしまっているものもあり、それを利活用しようとしています。老齢化した木は、CO₂の吸収率が低下し、根っこも弱くなっており、土砂崩れや山火事の原因になってしまうこともあるのです。それらの木を木質チップにし、バイオマス発電の燃料にしようと計画しており、森林の健全化に繋がればと考えています。
S.U手付かずになっている木が生えているのは、ほとんどの場合、道のないような場所です。重機が入れないので、「架線集材」といって、空中にワイヤーロープを張ってロープウェイのようなシステムを作って木を運び出せるようにする予定です。ここにも建設工事で培ってきた知見が役に立っています。
Y.Kさらに「架線集材」は、林床を傷めないという特徴のある技術です。すぐそこに植樹ができるため、地形や目的の合った少花粉スギや早生樹の植林を行い、バイオマス発電所の燃料を持続的に安定して供給できるようにと考えています。
R.K農業でいうと、木質バイオマス発電で排出されるCO₂を利活用しようとしています。そもそも木質バイオマス発電は、カーボンニュートラルな発電方法と言われています。CO₂は排出されるのですが、それは木が成長過程で吸収したものなので、大気中のCO₂濃度を増やしません。グリーンプロジェクトでは、そのCO₂を回収し農作物に与えることで、収量の増加や風味の向上に繋げ、特産品化することを計画しています。大気中のCO₂濃度を減らすカーボンネガティブを目指しているわけです。広島県広島市の西風新都バイオマス発電所の構内にある農業ハウスで試験栽培をした結果と、地域の方々からのニーズもあって、村上市ではイチゴを栽培することにしました。
Y.K私たちが直接林業や農業をするわけではないので、村上市に新たな雇用を生むことにも繋がりますし、ベースロード電源として電力を安定供給し、地域に貢献していくこともできます。このようにして、地域循環型社会の実現を目指しています。
新しい知見や技術を身につけ、社内に伝え、会社の成長にも貢献
Y.K林業や農業については本当に全く知識のないところからのスタートだったので、手探り状態で業務を行っていますよね。それに、これまでの太平電業は、基本的にはお客様から依頼を受けてプラント施設を建設、メンテナンスすることが中心でした。そのため、既存の知識や経験を活かして業務を進めることができましたが、グリーンプロジェクトはそうはいきません。これまで取り組んでこなかった上流工程の仕様決定や全体設計など、経験がないところにも挑戦しています。
S.U私も同じで、全然触れたことがない設備を担当しています。自主的に勉強をしながら業務を行っています。
R.K私も自分で本を買って読んだり、地元の農家さんに話を聞かせてもらったりしながら、農業に関する知識を深めています。
S.Uグリーンプロジェクトは、部の垣根を越えて集まったメンバー14名で推進しています。さまざまな分野のメンバーから出される意見も学びになることが多いです。
Y.K皆さんが言うように、初めてのことで難しいところも多いのですが、個々人の成長に繋がるものであることは間違いないですよね。また、太平電業では最近、設計(Engineering)・調達(Procurement)・建設(Construction)の3つの工程を一括して請け負うEPC事業に力を入れており、グリーンプロジェクトもそのひとつです。そのため、このプロジェクトで得た知見や技術を他のEPC業務でも活かせるのではないか、また、このプロジェクトを経験することで次のプロジェクトを担う人材が育つのではないかという期待を抱いています。
S.Uそうですね。グリーンプロジェクトで得た知見は自社の財産になると思いますし、私たちがそれを社内に伝えて、プロジェクト・エンジニアリングができる人材を育成できればいいですよね。
Y.K今後の太平電業の成長に大きな影響を与えるプロジェクトであることは間違いないので、責任は重いですが、その分やりがいもありますね。
培った技術と知見で、多角的な地域貢献を全国的に
Y.Kこれは冗談交じりで話していたことで、本格的に何かを進めているわけではありませんが、村上市は「鮭のまち」と言われているほど鮭が名産で、養殖もしてくれないかといった声をいただいたこともありました。そのために、「水を電気分解して水素と酸素をつくろう」「新潟県には水素ステーションが1件しかないから、新しいものをつくろう」といったアイディアも出ていました。
R.Kグリーンプロジェクトは発電所、林業、農業をパッケージにしたものではありますが、そのように地域の方々からのニーズに応えられるように、違う分野でもできることを考えていきたいですね。
S.Uそうですね。また、現在、グリーンプロジェクトは村上市で先行して推進していますが、いずれは国内全体に広げていきたいですよね。各自治体のニーズはさまざまなので、村上市とは違った問題もたくさん出てくると思いますが、それらに応えられるようにしたい。そのためにもまずは、村上市でのグリーンプロジェクトを成功させることが何よりも大事だなと思っています。村上市でのグリーンプロジェクトが成功すれば、お客様から「村上市と同じようなことをやりたい」という話がくるかもしれません。そのようにしてどんどん国内に広げていければと考えています。
R.K大袈裟な話かもしれませんが、会社からは「世界の食糧不足を救え」とも言われています。
Y.Kそうですね。長期的な展望ですが、太平電業は東南アジアや中南米などでの施工実績もあるので、海外にもこういったプロジェクトを展開していきたいと思っています。そうすることで、世界の環境問題や世界の食糧不足問題などの解決にも貢献していければいいですね。
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